『愛のアランフェス』槇村さとる
- 作者: 槇村さとる
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/09/18
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
お話はそれこそ上の『アラベスク』を踏襲するような王道スタイルで、特に凝ったものではありません。ただ、丁寧な解説と魅力的な人物描写(特に脇役)で実に読ませるんだ。槇村さんが描き続けているのは結局一つのことで、つまりは「何のために自分は踊る?」ということだと僕は思うのだけれど、それはバレエ・フィギュアと形を変えてもやっぱり同じ回答に辿り着くことだろう。それでも、主人公のバックグランドやパーソナリティ、そして演技ジャンルが異なれば悩める道筋は当然違うわけで、答えがわかっている僕にもその展開には胸を打たれてしまう。ビルデュングス・ロマンだね。