『MEDLEY』清春
- アーティスト: 清春
- 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: CD
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僕にとっての黒夢・清春というと、どうしても想像してしまうのが501XXとGEORGE COXを履いたパンクロッカー、あるいはファッションリーダーとしての彼で、実は楽曲にはさほどのめり込まなかった記憶があります。ルックスは文句なしにかっこいいけど*1、音楽的には極めて半端だなぁと。もっというと、方向性を彼ら自身で定められていなく、非常に痛々しかった。だって、punksを気取る割には楽曲は明らかにpopsで、下手をするとV系に感じられることもあったんだもん。それでいてV系の呼称を否定する様はもう、ね。
で、このアルバムですが、大変名作でした。妖艶なアレンジにsexyなヴォーカルの絡みもドキドキですが、実はメロディがとっても良いのだね。特に『feminism』の頃の楽曲はオリコン1位でもおかしくないような超上質のポップスで、通勤電車のヘビーローテーション決定です。聴いていて思うのだけれど、清春の自己認識が当時と変わっているよね。何というか良い意味で開き直っている印象。
ある種の人間にとってRO誌というのは圧倒的な影響力を持っていて、その誌面に取り上げられるかどうかでミュージシャンの質を勝手に判断してしまうきらいがあるように感じられます。で、このアルバムは明らかに同誌から無視されちゃうと思う。確かに全盛期のミッシェル・ブランキー・スーパーカーに比べると色々な面で安っぽくは感じられる。ただ、王道とサブカルだけがロックかといわれるとそんなことは絶対ないよね。洋楽でいうとduhranとかplaceboとかもかっこいいし、slowdiveとかcocteau twinsなんてV系と紙一重なところもあると僕は思う。もちろん彼らはとってもrockでかっこいい。
つまり何が言いたいかというと、当時はRO誌的なものに認められようと必死に思えた清春だけれど、一周回って、自身のスタイルをようやく確立できたのかなと。とっちらかった感が全くなく聴いていて実に心地よいです。当時よりも色っぽく、それでいてrockを感じます。自分のパーソナリティとやっていることが重なっている作品って素晴らしいよね、ということでしばしはヘビーローテーションが続くことでしょう。
*1:当時は僕もよく真似したものです。ちなみに、原宿のa store robotで一度彼を見かけたことがあります。