『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海

母親が図書館で借りてきた本を強奪。カバーイラストに若干の抵抗がありますが、面白かったです。1時間もあれば読めてしまう内容の割にドラッカー『マネジメント』のイントロダクション的役割も果たしてくれるので、ちょっとでも興味のある方は読んでみると良いかと思います。
お話はといえばひょんなことから『マネジメント』を手にとった野球部女子マネが同著を参考に所属部の運営を行い甲子園を目指すというもの。野球部にとっての「顧客」は誰か? 野球部の自己定義とは? それらそもそも論を皮切りにメンバーの強みを活かす配置、野球部の社会貢献etc、そういった割としちめんどくさい組織論がライトタッチで描かれます。表紙から察せられるようにストーリーの根底にあるのはライトノベル調の青春ストーリーなので、実に読みやすい。
こういう本って良いよね。仮に組織論に関心を持ったとしてもいきなり硬派な本に当たるのってハードル高いじゃない? かといってphp新書みたいな外観装飾だけ堅くて内容ペラペラな本なんてもっと嫌だしシクシク、と思っている人って割と多いと思うんだ。もちろん本書が実学に活かせるとはさすがに思えないけれども、ちょっとしたきっかけにはなるんじゃないかなと。つまり、あくまでさわりのイントロとしてね。
ちなみに著者の岩崎さんという方はTVのバラエティ番組の放送作家をされていたとのこと。そのせいか、語彙は少なく、風景・心象描写は非常に希薄。一方で会話にテンポは実に良いという絵に描いたような台本屋さんという印象です。リーダブル性の高さはそういうところからもきているのね。
電車内で読むのは少々恥ずかしかったけれど((ライトノベルなんて読んでると思われたら嫌じゃんよ)、十分オススメできる内容です。忙しい社会人の暇つぶしにはもってこいなんじゃないでしょうか?