『モチベーションカンパニー』小笹芳央

・モチベーションクライシスは内部告発や機密漏洩といった事象につながる。
・「組織としてやるべきこと」と「個人のやりたいこと」の違いをどう解消するか。つまりいかに各人にモチベーションを触発させるか。
・「報酬」とは「金銭的報酬」だけでない。従業員が魅力的と感じるコト・モノすべてを広義の「報酬」と定義する必要がある。
・モチベーションの大きさは「報酬の魅力」×「獲得可能性」であらわされる。
・「金銭」や「地位」の報酬はゼロサムゲーム、つまり誰かがそれを得るとまた別の誰かのそれが減る。しかしコミュニケーションによる報酬、つまり「よくやった」という一言や「このプロジェクトは会社の将来を決定する」という言葉はゼロサムでない。新しい報酬といえるだろう。
・部下が上司に求めるもの。まずは「情報収集機能」。上司が市場トレンドなど社内外の情報収集に積極的であること。また自分や自分の仕事に関心を持ってほしいというケアである。
・次は「対象選別機能」。評価基準をわかりやすく説明してもらえなければ何をどう頑張れば評価されるかが分からず部下は努力しようがない。
・そして「動機形成機能」。部下が「自分はなくてはならない存在だ」「自分は経営に参加している」と感じられる環境整備。
・「個人の欲求」に合わせて配置を行えば従業員は満足できる。ただ組織運営上、そううまく各人に合わせることができない。そこで考えるのは組織と個人の欲求ベクトルを一致させることだ。

金銭的報酬の原資に欠く現在の企業が目を向けるべきはモチベーションなる新しい報酬という説には納得。また他社への転職を引き留めるには自社に残る方がメリットありと感じさせるべきというのもなるほど。ただ、現実に各人の適性に沿った配置というのはかねてより行われているわけで、それでもコミュニケーションがうまくいっていないのが現在の姿だろう。本書のやり方だけでそれが簡単に解決するかというと実に疑問。とはいえそういった従業員のモチベーションという視点を持つのは重要なのだろう。勉強になった。